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いなだにのいいじまん

上伊那地域の長芋

iijiman_no5_1.jpg赤土の粉をまとった長芋

青森県、北海道に次いで全国第3位の生産量を誇る長野県の長芋。県内では主に長野地域、松本地域で栽培されていますが、ここ上伊那地域でも良質な長芋を栽培している農家がいくつもあります。
今春販売する「春の花きんとん」は、上伊那産の上質な長芋を使用した練り切りで栗きんとんをつつんだ、とても上品な創作菓子です。当社の和菓子製造スタッフが、中川村片桐の横前地区で長芋を栽培する松沢 久さん・美津子さんご夫妻を訪ね、作業の様子を伺いました。


〈信州 里の菓工房スタッフ  松﨑 瞳(以下 松﨑)〉
 長芋の栽培を始められてどのくらいになるのですか?
〈松沢  久さん(以下 松沢)〉
 
この辺りで長芋の栽培が始まったのは昭和40年ごろからかな。わが家では父が始め、自分がやるようになって40年ほどが経ちます。最盛期と比べると今では3分の1になりましたが、13アールほどの畑で約5千本を収穫します。
〈松﨑〉 長芋を栽培するには"土"が良くないと良いものができない、と聞きますが。

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〈松沢〉 そう、"土"が肝心。ここは長芋の栽培に最も適した"赤土"の土壌の畑が多いから、甘くて粘りのある長芋が育ちます。県内産の中でも味がいいといわれることが多いです。
〈松﨑〉 2月半ばに降った雪で畑は一面真っ白ですが、この土の中にまだ長芋があるのですか?
〈松沢〉 秋も深まったころ色づいた葉が落ちると自然にツルが長芋から離れるんです。それが「掘っていいよ」という合図。長芋は年末の贈答用に用いられることが多いため、収穫は晩秋から年末にかけてがピークです。しかし、年が明けて本格的な凍みがくると地面が凍ってしまうので、そのまま掘らずにおいておきます。雪が解けて土が少しずつやわらかくなってきたら、また掘り始めるんです。昔は一本ずつ手で掘っていたのでかなりの重労働でした。今は機械で掘るので作業はずいぶん楽になったけれど、力まかせに引っ張れば長芋が折れてしまうので作業は慎重に行います。今シーズンは長雨と干ばつの両方の影響を受けたのですが、太さも長さもある良い長芋ができました。
〈松沢〉 美津子さん(以下 松沢 美) わが家は全員が長芋好きで、初掘りした長芋はまずとろろ汁にして食べます。私のおすすめは、素揚げの酢味噌和え、すり芋と桜エビのかき揚げかな。そして、お正月には必ず長芋のきんとんを作り、きんとんの中には甘納豆を入れます。里の菓工房さんのお菓子は、長芋の生地の中に栗きんとんを入れると聞いています。早くいただきたいですね。

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〈松﨑〉 春の作業はいつごろから始まりますか?
〈松沢〉 4月に入ってから"種"にする長芋を掘ります。ここでの選別が一番大事で、その年の出来を左右します。種まきは遅霜を避けて5月に入ってからが本格的なスタートです。
〈松沢 美〉 種まきのころになると、畑から見える南駒ケ岳に陣屋代官や五人坊主などの雪形が現れて、農作業の時期が来たよ、と教えてくれます。
〈松沢〉 長芋は場所を選ぶといわれるほど。だからこの土地でないと、甘くて粘りのある長芋はつくれないと自信を持っています。朝掘って土の上に置いておくと夕方には表面が乾いて"赤土の粉"がかかったようなきれいな姿になる。これにはほれぼれします。
〈松﨑〉 この土地ならではの"たからもの"にまた一つ出会えました。大切につくっておられる長芋を、私たちも大切にしてお客さまが喜んでいただけるお菓子を作っていきます。

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(左)松沢さんの畑からは南駒ヶ岳を一望できる。
(右)機械で掘るようになったとはいえ、1メートルもある長芋を掘るのはなかなかの重労働。

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